Corazónで言い残したこと
刺激的なステージとなった2025年クリスマスライブ。みなさん来てくれて本当にありがとうございました。我々としては観てくれる人がいないとどうにもならないのです〜^^;舞台に立つとその瞬間からお客様のエネルギーを全身で受けて、全てを出し切る覚悟と悦びに包まれます。満席のお客様の前で披露できることは本当に幸せなことです。ありがとうございました。
全編通して感動したでしょ? 我々一曲目から勝負かけました^^
その一曲目はPresentación(紹介・披露の演目)としてTangosにチャレンジ。毎年一曲目は自分がしゃしゃり出て全構成を決め、さらに振り付けの一部までやります、踊れないのに。
2025年の初級クラスはTangosという曲種を一年かけて覚えたのだけど、愛加先生はなんと、全員に違う振り付けをするという技にでました。クラスの皆が共有し合えば人数分の振り付けを習得できるという画期的なクラス。おかげで一曲目はカオスな感じで、それが故に華やかで自由で笑顔が出るTangosになりました。自然な笑顔が出るって最強です!
せっかくなので、一曲目のTangosについてどういった意味合いで構成されているのかを紹介したいと思います。

まず、ジプシー女性の象徴とされるあまりにも有名なオペラ「Carmen」が土台です。
Carmenの象徴である、自由に、想いのままに生き抜くとはどういうことか?を表現してみました。演者の皆さんに伝えたテーマは「Pride:誇り」です。
冒頭の「Solo de pie:足捌きのソロ」、星野愛加単独での足捌きから始まります。彼女曰く、「自由を奪われるくらいなら死んだほうがマシ!生きるために生きてるんじゃない、私であるために生きている」とCarmenの信念とそれによって起こる悲劇を、ナント!? 逆再生させたとのこと。
圧巻でした!こんなSolo de pieを観れることはなかなかないと思います。
そしてCarmenが働いていたタバコ工場の出勤時間がやってきます。
Filippa Giordanoが歌うCarmenの名曲「Habanera」と共に演者が登場。背景のピカソの絵画「Houses」が暗闇から朝に変わります。Carlos Saura監督の映画Carmenの「La Tabacalera」を皆で歌い、スカーフを放り投げてからの初級クラス一年間の成果を発揮、全員違う振り付けのためエネルギーに満ち溢れます。
続いて今年亡くなった歌の師匠に最初に教わったカマロンの名曲「detrás del tuyo se va」を追悼で歌い、生徒の皆が空を見上げてくれます。
認知症の師匠に最後に会った時にもこれを歌い、誰だかわからなくなった自分の歌に涙を流しながら伴奏してくれました。自身の心に刻まれた一曲です。
Si el agua se va a los ríos
los ríos se van a la mar
y el probe corazón mío
detrás del tuyo se va
水は川へ身を委ね
川はやがて海へ消えていく
それと同じようにこの弱い僕の心は
君の心のあとを追わずにはいられない

この後、レマーテ(刹那)のあと時が止まり、Carlos Sauraの映画Carmenで一瞬流れる大好きな歌「Deja de llorar」によって皆が舞い、Carmenが竜巻を起こし、暗転します。
No llores más
Deja de llorar
No sufras más.
もう泣かなくていい
その涙を手放して
もうこれ以上、苦しまなくていいんだ
最終的にオペラCarmenの心を逆再生した構成となりました。
この演目の後、今回の公演のテーマであるフラメンコで大切にされている言葉「Corazon:心・魂」について話をしたんだけど、うまく喋れずじまいだったのでここに書きますね。
ジプシーの人達が作ったフラメンコはレマーテという刹那の表現を最も大切にしていて、この刹那を表現することに全てを賭けている。なぜならジプシーの人達は明日殺されるかもしれない社会の中を数百年生き続けてきたから。今この瞬間が人生の全てであり、その人達の表現がフラメンコの根っこになっている。
そしてフラメンコはコンパス=時間という枠組み(リズムが刻まれる拍子の単位だが、さらに深いグルーブも存在する)を共有し、その中で各々が表現し合うという厳格なルールが存在する。「人生とは時間でできている」、つまりパルマ=手拍子によってコンパスが刻まれると、その人たちは凝縮された人生そのものを共有して刹那を表現し合い、刹那の前にあるマンダール=合図を察知した参加者が気持ちを一つにして刹那を分かち合う。
刹那であるレマーテを共有できた瞬間、湧き上がる炎のような気持ちになれるのは、大切なことを分かち合えた悦びから生まれるものだからだ。そしてコンパスを大切にするほど、この悦びは増大する。
以前のブログにも同じようなことを書いているんだけど、トークで話したかった半分はこれです。そしてもうちょっと話したかったのはこちら。
〜SNS(X)に流れてきたチベットのお坊さんの言葉〜
人生はたった1日だけです。
あなたはある日生まれ、ある日を生き、ある日死にます。
全ての出来事は1日の中で起こる
今日こそがあなたの唯一の人生です。
昨日?もう死にました。もう遅いのです。
明日?まだ生まれていません。まだ早すぎます。
あなたが持っているのは今日だけです。
今日は人生の小さなカケラ?いいえ、今日こそが人生そのものです。
来年は幸せになろう、それは幻想に過ぎません。
幸せな今日を生きたなら、それはすでに幸せな人生です。
(補足:思考が過去にあると後悔と未練が残り、未来にあると不安になります)
この言葉が示す1日は今ということであり、今この瞬間=刹那に心の焦点が定まっていることのみが、唯一人生を生きていることになると言っているのだとしたら、それはフラメンコであり、それこそがフラメンコで大切しているCorazonの本質なんじゃないか、という結論に至りました。
Corazon=今という瞬間に意識が集中しているときの魂の輝き

ご来場の皆様が同じ場にいてくれたおかげで、アカデミー生徒一同がCorazon:魂を輝かせることができました。
感謝しかありません。ありがとうございます!

